6次産業化へ取り組む前に
売れている6次化商品の特徴
1.消費者に価格以上の価値を感じてもらえる商品である
2.ターゲット・利用シーンと商品コンセプトが一致している
3.消費者の共感を呼ぶようなコダワリやストーリー性がある
4.その土地・地域(資源)の特性を活かした商品である
5.最適な販売先や販売場所、売り方が出来ている
6.製造加工に必要な原材料や資金が確保できている
7.競合商品に対する新規性・優秀性・市場性が見込める
8.事業を継続するだけの経済性・採算性が見込める
9.無理な設備投資をしていない
売れていない6次化商品の共通点
1.価格設定。消費者が求める適正価格とのズレ(価値不足)
※商品が出来あがってから価格設定すると適正価格のズレが生じる(開発者都合)
2.品質(技術・知識・設備の不足)
3.分かりにくい、使いにくい、食べづらい(情報不足)
4.デザイン・商品形状が悪い(ブランディング不足)
5.類似商品や競合商品が多い(個性不足)
6.販売チャンネルが不明瞭・条件が合わない(販売手法)
インタビュー
たかはし なり
埼玉県さいたま市出身。東京家政大学卒業。管理栄養士。震災支援活動を機に、食に制限を抱える患者の多さと、不安定な日本の食環境に危機感を抱く。食の課題解決には現場での課題抽出と実践だけでなく、制度面の整備の必要性を感じ、松下政経塾入塾。日本の食を豊かにすることで、世界に貢献できる国創りをすることを目指し、研修に取り組む。現在は、食事という小さな日常を豊かにしていくことで、人と社会を活力あるものにしていく『第二の台所』をつくるべく、WEB制作・講演活動・商品開発などに従事。「食事はいちばんのくすりになる」をコンセプトにした食と健康の知恵袋サイト「しょくすり」運営。食源病の対策に効く伝統的な和食を若い世代にも気楽に作ってもらう書籍『がんばらないおせち』の出版など、幅広く活動している。
6次化商品に求めているモノ・コト・トキについて
他にない商品かどうかというところだと思います。他にない商品であったら地道にやっていたらその商品に目が向いてくる。あとは思わず「この商品いいよね」、「良かったら使ってみたら」、そう思わず人に伝えたくなるようなネタがその商品にあるかどうかなんです。じゃないとこういう商品があるよって言っても、「へえそうなんだ〜」の一言で終わってしまう。そういう商品っていうのは広がらないんです。
「へえそうなんだ〜」って言ったときに「その商品はね、こういうところにあるんだよね」、「この生産者がね」、「こういった経緯で作ったんだよ」みたいな話とかエッセンスが二言三言と続けられる商品は強い。こういう商品じゃないとメディアにも取り上げてもらえないですし。口コミやSNSで広がりもしない。
ストーリーがある商品って心惹かれますよね。一言で終わる商品じゃなくて二言目三言目と続く商品っていうのをいかに作れるかっていうところが大事になってきます。
その商品が売れて広がり、それがオンラインで全国各地に取り上げられましたとか、海外に輸出することになりました!とかになったら成功。福島県の伊達っていう地名が小さいコミュニティの中でもどんどん発信できる。発信できるようになれば経済の幅を広げることに繋げていくことができるってこと。そういうこともあるので、売れる売れないっていうのはもちろんあるのですが、かけた時間という価値って凄く大きいと思っています。
ただ時間をかけて、それがこけちゃったりとか失敗しちゃうと何だったんろう?って話になってしまう。どうしても後味が悪くなってしまう。じゃあ成功するためにどうしたらいいかっていうのは、商品をどういうふうにその二言目三言目っていう話になってくると思うんです。
それを作り手側が伝えられれば、消費者が今度はそれを人に伝えたくなってそれがまた広がっていく。人が商品の広がりを作っていってくれるというところになると思います。6次化は一人ではできないっていうのが一番のやる意義みたいなところなのかなと思っています。6次化商品ってその商品が出来た段階でいろんな人がもう既に関わってるんで。その1回目の口コミの数が違うんですよね。そうなってくると次の口コミ数がもっと広がっていく。だから6次化にはいろんな人が関わることの意味っていうのがあると思います。いろんな人が関わってくると、最終的に地域のために何ができるのか?っていうところにだいたい返ってくるんです。不思議ですよね~。
地元のために何ができるのか?っていうところに返ってきた時に、みんなでその地域の未来を考えるっていうのは一つのきっかけになったっていうのが実は商品だったっていうのがあります。6次化商品の “モノ・コト・トキ” はすごく大事だと思っています。
6次化を成功に導くための手法とアドバイス
商品を作るときに一番売れる商品って何かっていうと、自分たちのこと知ってる人たちの商品が一番売れるんです。
流行りとか社会の風潮に乗ってるとか、ニーズに沿っているのももちろん大事なんですけれども。一番売れる理由っていうのは自分たちのことを知っているかどうか、自分たちの強みであったりとか、自分たちの魅力がどこにあるのかとか、そういったものをちゃんと理解してるかどうかっていうのが一番大事です。これが売れてるから、これが流行ってるから、で作った商品はものすごいたくさんあるんですよね。もう世の中には。
それだけでは正直言って価値ある商品として成立しないんです。その中で何が違うのかっていうところはやっぱり自分たちの地域であったりとか自分たちの持っている素材、この企業さんとこの企業さん、この企業さんもありますっていうところとか。企業があるだけじゃなく、それらをお互いに掛け合わせたときに、うちにしかできないものって何だろう?っていうところがはっきりしてるところじゃないといけない。結局、商品として作っても世の中に類似商品がいっぱいあれば他に埋もれてしまう。労力をかけても無駄になってしまうんです。
とは言っても、正直作ろうって思うとすごく難しくなってきてしまう。なので他では買えないストーリー、ストーリーをすごく私は重視しています。商品の中に思わず語りたくなるストーリーがあるかどうかっていうところがすごく勝負のポイントなんです。
この開発にかけてきてどういった困難があったのかとか、他ではないその語れないようなエピソードがあるのかとか、これって伊達にしかないよねっ!ていうような話。他の地域でも同じだよねっ!てなると結局取り上げる理由にはならないんですよね。全国にたくさんあるところで、やっぱりここじゃなきゃ!ここで買わなきゃいけないよね!っていう理由作りをいかにたくさん持っているか。それが1個だけではなく、たくさん持っているかっていうところがすごく大事だと思います。私自身、商品を作るときにはすごく意識しています。
私は商品作る時には記者の気持ちになるんです。記者の気持ちになって商品について問いかけるっていうことをすごく意識しています。これ何でこういうふうに作ったんですか?、これって誰が中心に作ったんですか?、これって商品開発にどんな苦労があったんですか?、みたいな話を記者になった気分で自分自身に問うと、そういった質問がいっぱい出れば出るほど魅力ある商品になります。じゃないとその辺に埋もれちゃう商品は取り上げてもらえない商品、イコール売れない商品なんです。
そのためにはアイディアをブラッシュアップ(さらに高める)する期間が結構長くかかってしまうんです。
アイディアは多い方がいいです。それと意外と忘れられがちなんですけれども、いかにアイディアを深堀りできるかというところ。なんでこのキーワードなの?、じゃ何でそれをやるの?、なんで?なんで?ってなったら、本当の本質的な理由が最終的に出てくるんです。掘らなきゃいけない理由ってそこだったりします。アイディア出して終わりじゃなくて、何でそのアイディアを出したのか、どうしてそのアイディアが生まれたのか、何を思ってこれを設定したのか、どこに着目をしたのか、それがすごくヒントになることが多い。思いつきを言ったその背景とかその裏側っていうところをいかに深堀りできるかっていうのがすごく大事になってきます。深掘りする事と記者の気持ちを合わせる事で、よりストーリーに深みを持たせる事ができます。
それともう一つ大事なのはスケジューリングです。
最初立てた計画より後ろ倒しになることを前提にいた方がいいと思います。
関わるセクターが増えれば増える程、どうしても後ろに流れていってしまうっていうのがあります。スケジュールはなるべく色々な人が関わるものは前倒しで作っておき、絶対守らなきゃいけないおしりの日を決めてください。
そして完成した商品は直ぐには売れません。
私の経験ですが、開発した商品がヒットするのに2年は掛かります。最初イベントに出した時に多くのメディアに取り上げられたりとかしたんです。けれども、その波って長く続かなくて。その後に細々とちょっとずつ売れていきました。売れてった先(消費者)からの口コミとかでだんだんと広がったんです。並行して他のイベントでもちょこちょこ出店PRしてました。お蔭様で少しずつ上がっていき伸びてった!っていう感じです。正直直ぐに売れら嬉しいんですが。最初はイベントに出してちょっと売れただけで嬉しくって。
本当に直ぐには売れないものです。ただ私は、たまたまアレルギー対応ってちょっと変わった商品を作っていたっていうのもあって。それを必要とする人は一定数必ずいます。ある意味そういう商品を作ったっていうのが大きく、そういうネットワークの人たちにこういった商品があるよ!っていうのが徐々に広がっていきました。その人達にリピートしてもらえ、ある意味も狭く固くっていうような商品だったっていうのが大きいところではあります。
メディアに取り上げられる商品じゃないと残らないっていうのは確実です。またその時の取り上げられ方が結構重要で、先にもお話ししましたが一言で終わる話では多分そこで終わると思います。二言三言と繋がるストーリーが必要です。アイディアを何度も何度もブラッシュアップして深掘りしていき6次化に取り組んでください。今後の取り組みに期待しております。
アフターコロナで変わる消費者の価値観について
今、皆さんの過ごし方がお家ですよね。そういった事やコロナ禍であることから健康に対する投資がかなり伸びてきています。逆に言うと、お家の中で何してるか?っていうところが販売のきっかけとなるアイディアベースになるかもしれません。お家に巣ごもりしてる時に何が欲しいのか、お家で楽しめる商品っていうのは何か、おうちで健康を維持するには何が必要か、外出して買いに行こうと行動させるものは何か、オンラインで購入させるものは何か。お家で必要とされているサービス、オンラインでできるサービス、外出しないと得られないサービス、こういったことを考えるのが必要だな~と思っています。新しい生活様式になって価値観は大きく変わりました。変化した価値観から見えてくるものを探す。または、将来の価値観を想像してみるってのも大事だな~と思っています。何はともあれ、新型コロナウイルスの感染拡大が一日でも早く終息することを心から願うばかりです。
@ 2021 だてな美食 on・line 食ping プロジェクト