6次産業化へ取り組む前に
売れている6次化商品の特徴
1.消費者に価格以上の価値を感じてもらえる商品である
2.ターゲット・利用シーンと商品コンセプトが一致している
3.消費者の共感を呼ぶようなコダワリやストーリー性がある
4.その土地・地域(資源)の特性を活かした商品である
5.最適な販売先や販売場所、売り方が出来ている
6.製造加工に必要な原材料や資金が確保できている
7.競合商品に対する新規性・優秀性・市場性が見込める
8.事業を継続するだけの経済性・採算性が見込める
9.無理な設備投資をしていない
売れていない6次化商品の共通点
1.価格設定。消費者が求める適正価格とのズレ(価値不足)
※商品が出来あがってから価格設定すると適正価格のズレが生じる(開発者都合)
2.品質(技術・知識・設備の不足)
3.分かりにくい、使いにくい、食べづらい(情報不足)
4.デザイン・商品形状が悪い(ブランディング不足)
5.類似商品や競合商品が多い(個性不足)
6.販売チャンネルが不明瞭・条件が合わない(販売手法)
インタビュー
まつだ まさや
1962 年東京都生まれ。
1986 年、人文学部卒業後、サッポロビールに入社。関東支社山梨担当、 大阪支社大阪南支店、埼玉支店、中四国本部、広域営業本部を経て現職。新設された創造変革職に任命され会社全体の【創造と変革][越境】の推進にチャレンジしている。
「今の会社が好きなのは、自由にいろいろなことをやらせてくれること。やりたい、といえば、じゃ、やってみたら、と意外に権限をくれる会社。身近な自分の限界や壁を崩せ、そういうところが自分に合っているなという気がしますね」(松田氏)
6次化商品に求めているモノ・コト・トキについて
新たな商品づくりをするときには、プレジャーコストってのを考えてみるべきです。プレジャーコストとは、簡単にいうと人生を豊かにするためのコスト。これは東京と地方っていうふうに考えると、どちらのプレジャーコストが高いのか?実は東京って人生を豊かにするためのコストが非常に高いんですよ。美術館もあればアミューズメントもあるし美食もある、いろいろあるけど全部お金を出さなきゃいけないんですよね。自分を満足させるためのプレジャーコストっていうのは非常に高いんですね。伊達市さんの場合、人生を豊かにするっていう角度が違うと思うんですよ。自然があって、いつも果物があって、人間関係がすごく見えるものがあって。他にも、都会の人が憧れる田舎のステージだとか、都会の人には届かないようなものが実は食べられるとか。要するに都会では高いプレジャーコストが、ある意味、伊達市さんに住んでいると非常に安いプレジャーコストで経験・体験できているシーンがいっぱいあると思うんです。つまり、地域性や場所場所、角度によって、人生を豊かにするためのコスト “プレジャーコスト” は変わるってことですよね。だから伊達市さんが考えるプレジャーをしっかりと見える化してみることをお勧めしますね。プレジャーについての検討は、まず “入口ですべき” です。伊達市さんが考えるプレジャー、人生を豊かにする場面っていうのを商品に上手く結び付けられると価値が生まれると思います。商品にストーリー(物語)という付加価値が付くということです。全てがストーリーに繋がる。具体的な言葉にすると、【今・ここ・あなただけ】そういう商品をつくらないとなかなか響かないってこと。ただ、それって必需品なの?っていうと多分必需品じゃないんですよね。そうしたら、付加価値が高い商品でなくちゃいけない。そのためにはどういうことが必要か?ストーリー性や季節感が必要ですよね。だから、その地域でのプレジャーを真剣に考えるっていうことが非常に大事なんですよね。
季節感でいえば、春だけの商品だと次の販売は1年後になってしまうんで、やっぱり連続性が必要かと。春夏秋冬ごとに全部を繋げて、非常にプレジャーが高い商品をつくる。1年間プレジャーに触れてるという、そういう商品作りをしなきゃいけない。そのためには、味覚・視覚・聴覚・嗅覚・触覚(五感)+6感(感性に訴える・想い・地域愛・仲間・古き良き日本)がすごく必要であると考えています。地域愛、こんなに俺たちの地域は良いんだよ!みんなこの地域大好きみたい!なのが商品に表れてくるといいんじゃないかな~。仲間の顔がなんとなく目に浮かぶとかですね、古き良き日本の農家の風景がもうプンプン匂うとか、6感で匂ってくるんですよね。あとこれも必要なんですけど、ウイークタイズとストロングタイズ、要するに消費者と緩い繋がりの関係でありたいのか、それともダイレクトが強い繋がりをずっと求めるのか。ウイークタイズの商品なのかストロングタイズの商品なのかっていうことを考えていかなきゃいけない。地域特性で、季節感と担い手の想い。これはやっぱり学生たちが現場を歩いて、これを一つ一つ作ってもらうしかない。作り手の想いを聞いてみたりして。じゃあ伊達の歴史は何なんだ?霊山の歴史ってどうなんだ?ってことも知らなきゃいけないかもしれない。買い手にとって共感できる作り手の想い、そして安全安心が絶対に必要ですよね。ちゃんと継続性がある付加価値商品を生み出した事業は、コスト的に本当に見合うのか?消費者にとってお金を払う価値があるのか?ってこともきちんと分析したうえで商品化を進めていますよね。作り手の想いや歴史、安全安心といったことは必ず価値に繋がります。価値が継続性に繋がるってことです。こうした過程(取り組みや分析)を経て作られた商品には ”こだわり” が感じられるようになります。この辺を照らし合わせると、見える消費者ができてくるかと。こういうのを1個1個確認すると、求める “モノ・コト・トキ” が纏まってくるかなと思ってます。
①プレジャー価値(人生を豊かにするための価値)が高い商品であるか否か
②物を売るのではなく、ストーリー(物語)を買ってもらうという意識
地域特性、歴史・季節感、作り手、担い手の想いが見える商品
③味覚・視覚・聴覚・嗅覚・触覚(五感)+6感(感性に訴える・想い・地域愛・仲間・古き良き日本)が付加価値を生む
④ウイークタイズなつながり?ストロングタイズなつながり?
キーポイント
6次化商品開発までの重要視されているプロセス
何のために、誰のために(経済・収入・観光・移住・地域文化の保全・地域活性 化)、自分や地域価値の見直し、人生観などからコンセプトデザイン」を創り上げてみるのが重要。
個々の考え=素案の表出(あれかこれか)→商品群→ターゲット→拡販プロセス (販売戦略策定・宣伝・流通・販売チャネル)といった定性的発想をまとめておく。
そして、販売価格・原価・損益分岐点(投資回収=減価償却プロセス・回収年月)・ロット、担い手・労働コスト・品質・だれでも・いつでも(数値化・体系 化)・販売チャネルを定量化していきましょう。
6次化を成功に導くための手法とアドバイス
YES・NO理論、これは独特な理論なんですけど、物事の答えにYESとNOって出るじゃないですか。これやりたいって言ったときに、左側はYESとします。右側ができないよっていうNOだとします。そうすると、やっぱり我々がいきたい方向に物事を持っていきたいですよね、そうすると左側のYESに行きますよね。第2の難関が出てきて第2の難関を解く時にもYESとNOが出てきますよね。でまた今度はYES、NOって言うと左側のYESをまた取りに行きたいですよね。じゃあ3番目の難関が出てきますと、そこでもYESかNOが出てきます。で全部YES、YES、YES、YESと取ってくと、山の斜面は左側になるんですよ全て。ですからできたならばその左側を目指していきたいんですね一番左側のYESを。だけど、初めのYESで次がNOだとしたら真ん中に寄ってきますよね、で次がまたNOだったらもっと真ん中に寄ってきちゃいますよね山の。この山の真ん中を割って左側の三角形の方に行くマーケティングしなきゃいけないっていう、考え方をしなきゃいけないんです。だから3通り4通り、16通りなのかその先の32通なのか、考えて考えて想定してなるべくお客様が左側のYESを取る方に持っていくという、こういうような意識付けが必要になってくると思います。これがYES・NOの理論って私言ってるんですけど、なるべく左側のYESっていう塊の方にものをもっていくために、いろんな仕掛け作りを行っているという、これがYES・NO理論です。
キーポイント
6次化商品までの重要視されること、やはりコンセプトですよね。パッケージデザイン、最近よく言われているデザイン経営、単に商品をデザインするんじゃなくて、商品づくりのコンセプト自体、その流れ自体をデザインしていくという。それは何のために、誰のために、経済的に豊かになりたいのか収入を上げたいのか、観光として新たに来てほしいのか、移住対象者なのか。でも、今回のプロジェクトは地域文化の保全と地域の活性化、これを全国に伝えたいですよね。伊達市さんの特徴、魅力を伝えるには、まずは地域の活動情報を集めながら感じたものを表に出してみるという作業が必要だと思います。
また、どのぐらいのタイミングで、どのぐらいのお金をかけて、どのぐらいのサイクルで定量化に持っていくのか。それをどういうふうなスパイラルで回していくのか。あれかこれかっていうものをとにかく出させてみて商品群の候補を作っていく必要があります。
そしてターゲティング(客層)を明確にしてからのプロセスを具体的なものにしていく。ここらへんを考えていくと、それで商品として儲かるの?ってことが見えてきます。もちろんコストも出てきますよね。いつまでに減価償却しなきゃいけないのか。投資の回収ってどのぐらいの期間でするのっていうロットですよね。ここら辺で定量化は全て見えてきます。販売チャンネルもどこを使って販売するんですか。ふるさと納税だとしたらどのタイミングで、どの時期に盛り上げたらいいんだろうか?など、こういうのがたくさん出てくると思うんですよね。アドバイスとしては、やっぱり定性から定量を得てこのプロセスをしっかりと見える化するということだと思います。
アフターコロナで変わる消費者価値観について
コロナ禍で生まれた新たな価値(消費スタイルやネット環境でできる様々な対応)は継続するだろう。価値観の多様性が進む中、個々の価値観を見極めることが重要となってくる。伝統・自然・安心・手作り・生産者・季節感などの価値が益々高まるだろう。
キーポイント
価値感の塊はどこに移動するのかを見極めるっていうことがすごく必要になってきます。消費者にとっても。格差社会ってのも出てくるんでね。価値の弱いものにはお金を使わず、価値があるものにお金を使うっていう社会がもう起こってますよね。それはSNSなど、情報が飛び交う社会だからこそでもあります。自分が手に入れたい価値の情報や自分の価値観と合うものの情報がすぐに入る時代なので。うちの若いセールスもSNS映えとか言うんですけどね。ただ、SNSなどで集まる人たちをコントロールすることは非常に難しいような気がします。何かのきっかけでいなくなっちゃいますからね。それは困りますよね。やっぱり、伝統・自然・安心・手作り・生産者・季節感などの付加価値を付けて継続的な強みを表に出しておくといいですよね。それと、中心の塊っていうところを見極めて引き付けるぐらいの気持ちでいることをお勧めします。大きな地球儀と小さな地球儀で例えますね。大きい地球があったとします。半径10キロ、20キロっていう地球儀に点をつけて、いっせいのせっ!でぐるっと回すと戻ってくるのにめちゃくちゃ時間かかりますよね。小さい地球儀の場合、丸つけてクルッと回すとあっという間に戻ってきちゃいますよね。東京っていうのは、やっぱり大きい地球儀なんですよね。いろんなものがあるからぐるーって時間をかけて回ってきます。地方っていうのはやっぱり小さい地球儀なんで、点打って回すとすぐ戻ってきちゃうんですよね。戻ってきちゃったら新たな点(次の点)を打っていかなきゃいけない。常に小さいコマを回し続けなきゃいけないってこと。すなわち、ターゲットをどこに置くのか?ってところが大事ということです。どのくらいの事業の地球儀を作って、どんな人とどのくらいの費用で、どのくらいのスピードで回していくのか。それを考えないと地球儀の大きさも決められないし事業規模も決められない、ということになりますよね。で、ここらへんもやっぱり事業の中で想定させて、どのぐらいの大きい地球儀をみんな作っていきたいのか?ってことを考えなくてはいけません。せっかく作ったものをどのくらいの周期で回していきたいのか?っていう問い合わせをしてみるのも一つかなと思います。
@ 2021 だてな美食 on・line 食ping プロジェクト